前回までの記事では、次亜塩素酸の除菌力はpHによって変化することをご紹介しました。
実は、除菌力に影響するのはpHだけではありません。
**「温度」**も、次亜塩素酸の働きに大きく関わっています。
化学反応は一般的に、温度が高いほど速く進みます。
次亜塩素酸と細菌・ウイルスとの反応も同様で、温度が上がると除菌反応は速くなる傾向があります。
実際に、ある研究では温度が10℃上昇すると、微生物の死滅速度が約2.2倍になったと報告されています。※
では、「できるだけ温度を上げた方がよい」のでしょうか。
実は、そうではありません。
温度を上げすぎると、次亜塩素酸は分解しやすくなります。
さらに、高温では塩素成分が気化しやすくなるため、必要以上に加温することはおすすめできません。
そのため、実際に使用する場合は、40℃程度までを目安にするとよいでしょう。
一方で、保存については考え方が逆になります。
高温では分解が進みやすくなるため、次亜塩素酸水は直射日光を避け、涼しい場所で保管することが大切です。
つまり、
- 使用するときは、少し温かい方が反応しやすい。
- 保存するときは、できるだけ低温が望ましい。
という、一見すると逆の考え方になるのです。
「温度が高いほどよく効く」
これは半分正解ですが、高ければ高いほど良いというわけではありません。
次亜塩素酸水も、適切な温度で使用・保管することで、本来の性能を十分に発揮することができます。
次回は、**「除菌だけじゃない? 次亜塩素酸のもう一つの力」**についてお話しします。
実は次亜塩素酸は、除菌だけでなく消臭にも優れた力を発揮します。
その仕組みを分かりやすくご紹介します。
※ 参考文献
福﨑智司 他:防菌防黴, 37, 253-262 (2009)
