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獣医師による水と衛生の話 第6回「酸性が強ければいいわけではない?」

前回の記事では、pHが低いほど次亜塩素酸(HOCl)の割合が多くなることをご紹介しました。

では、「もっと酸性にすれば、もっと除菌力が上がるのでは?」と思う方もいるかもしれません。

その答えはNOです。

前回ご紹介したように、

  • pH6.0では約97%がHOCl
  • pH7.5では約50%がHOCl
  • pH8.5では約9%がHOCl

となります。

つまり、pH6付近ですでにほとんどがHOClになっています。

そのため、それ以上酸性にしても、HOClの割合はほとんど増えません。

ここまで聞くと、

「pH6で十分なのは分かったけれど、もっと酸性にしても問題ないのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、実際には極端な酸性にすることはありません。

その理由は、安全性です。

強い酸性になると、次亜塩素酸は**塩素ガス(Cl₂)**へ変化しやすくなります。

この塩素ガスは刺激臭があり、高濃度では人体にも有害です。

皆さんも、「混ぜるな危険」という表示を見たことがあるのではないでしょうか。

これは、塩素系漂白剤と酸性洗剤を混ぜることで、塩素ガスが発生する危険があるためです。

つまり、

  • アルカリ性ではHOClが減少する
  • 酸性が強すぎると塩素ガスが発生しやすくなる

という、両方のリスクがあります。

そのため、次亜塩素酸水では**「適切なpHで使用すること」**が非常に重要になります。

「酸性なら酸性ほどよく効く」

そんなイメージを持たれることもありますが、実際にはそう単純ではありません。

高い除菌性能と安全性を両立するためには、「ちょうどよいpH」が大切なのです。

ところで、高い除菌力を持つ次亜塩素酸ですが、実は苦手なものもあります。

次回は、「次亜塩素酸の弱点とは?」をテーマに、その特徴について分かりやすくご紹介します。

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