A型H1N1新型インフルエンザ・パンデミックから・・
                                  
2010年2月1日


今回のA型H1N1新型インフルエンザ・パンデミックから学ばなければならないこと・・・
まずは
・季節性インフルエンザ・・・毎年12月〜3月あたりに流行を繰り返す従来から知られているタイプのインフルエンザです。
とは言え毎年1000万人の患者発生と6000〜3万人の死亡者が発生しています。(高齢者中心)
さらに、進化の速度が速く、同じ名前のインフルエンザであっても、前年と同じとは限らず、連続して感染してしまうことだってあり得るのです。

・新型インフルエンザ・・・季節性のインフルエンザの進化が限界点近くなり、多数の人類が基礎免疫を持つようになると、インフルエンザとしては人間のあいだで繁栄できなくなります。そこで季節性のインフルエンザのような小手先の進化ではなく、「劇的」とも呼べる変貌を遂げるものが出てきます。これは、往々にして他の動物などのウィルスと交雑することによる変異で発生します。

・鳥インフルエンザ・・・ H5N1と呼ばれ、鳥の中ではパンデミックと呼べる状況にあります。また、世界中(特に東南アジア)で鳥から人への感染事例が数百例報告さています。

以上の三つの区別をする必要があります。
その上で次の可能性について考えてみてください。
H1N1新型インフルとH5N1鳥インフルに同時に罹った人がいたら・・・
H5タイプの新型インフルが発生する可能性については、このコラムで前にも書きましたようにWHOの見解でもifではなくWhenとなっているのです。

予想されるH5N1新型インフルエンザの性質
まず、H5N1がヒト型新型インフルエンザになった場合、強毒型の性質を継続保持する可能性が極めて高いと言われています。
では、その「強毒型」とは・・・弱毒型と呼ばれる今回のH1N1新型インフルをはじめとする今までのインフルエンザウィルスは悪くても肺炎などの呼吸器感染症であり、まれにインフルエンザ脳症を引き起こす程度でした。
つまり、死亡率が最も高かったとされるスペイン風邪でも2%、季節のインフルエンザは死亡率0.1%未満なのです。
これに対して、現在世界で頻発しているH5N1鳥インフルエンザでは感染した人の60%以上の人が亡くなっています。これは、呼吸器感染症のH1と異なりH5が全身感染を引き起こすことに原因があると言われています。つまり、多臓器不全・重症肺炎・脳炎を引き起こし、さらに人間の生体防御の過剰反応を誘うことから、抵抗力が強いとされる10代後半〜30代の死亡率が80%近くなり、逆に抵抗力が弱いとされる幼児や高齢者は40%台というデータもあります。
つまり、平均死亡率が6割にもなるH5鳥インフルエンザは、ヒト〜ヒト間感染をする能力を持つようになっても、その狂暴性(強毒性)は維持する可能性が極めて高いと言われているのです。

当コラムの昨年7月24日付けで、書籍を紹介させていただきました感染免疫学の医学博士でもある 岡田晴恵 氏の作品の中に素晴らしい一文がありましたので紹介させて頂きます。

「20世紀までの感染症の流行は、突然降って湧いたように発生し、ある意味、平等に世界中が苦しみました。しかし、今は、このウィルスが次にパンデミックを引き起こすだろうと予見できるようになり、ワクチン、薬、行動計画しだいで、流行を抑制することもできるはず」

忘れないでください。
春先にメキシコで発生し、間を置かずに日本国内に感染し、秋口からの本格的な流行で混乱した我が国の状況を・・・今回の致死率はおそらく1%以下でしょう。
しかし・・・次に予想されるものは致死率60%・・・
9・11を経験した当時のブッシュ・アメリカ大統領が「自然界から人類に対するテロだ」と指摘し、対策を進めるように指示したのもうなづけるのです。

不安を煽るつもりはありませんが、今回、A型H1N1新型インフル対策を担当された・・・もしくは個人的興味でこのコラムを目にされた方には、日頃からの感染症危機管理意識を、これからも継続して持ち続けて頂くことを切に願うばかりです。

●各分野で感染症対策(特に新型インフルエンザ)を検討される方々に・・・